会長挨拶
この度、第63回日本癌治療学会学術集会を2025年10月16日(木)~ 18日(土)にパシフィコ横浜にて開催させていただきますことを大変光栄に存じます。
ひとえに癌治療学会の会員の皆様および関係各位の皆様のおかげと心より感謝いたしております。
今回の学術集会のテーマは、「がんと生きる、がんを生きる」にいたしました。前半の「がんと生きる」は、ちょうど10年前に婦人科領域として私の前任の小西先生が担当したときの標語そのままです。当時はがんが治る病気になりつつあり、がんと共存しつつどのように生きていくかがテーマでした。それから10年を経て、治療成績はさらに向上し、治療法も多彩になると同時に、患者さんや社会のがんに対する向き合い方も大きく変化しました。誰もががんになりうることを前提に社会全体でのサポート体制の整備、患者さんのヘルスリテラシーの向上、さらにはがん罹患というイベントを人生のアイコンとしてどのようにとらえ、昇華していくのか、といった哲学的なテーマも含めて、いま、医療が外向きの展開を求められる場面になりつつあると感じています。その意味で「がんを生きる」というさらに積極的な語句を後半に加えました。
本学会の特徴は領域横断・多職種を含むことであり、普遍的・継続的に議論すべきテーマをベースとしてプログラムを組んでまいります。本学会に来れば「がん診療のすべてが把握できる」ようにします。さらにこれに加えて婦人科が担当させていただく機会ですのでHPVワクチン、がん生殖、遺伝性腫瘍の着床前診断、妊娠中のがん診療といった課題や、あるいはAI、ロボット等の最新技術、さらにはがんサポート等の周辺課題にも目を向け、参加いただいた方が明日からの診療へのモチベーションを数多く持ち帰っていただける学会を目指してまいります。ホスピタリティープログラムも含め、本学術集会が実り多い学会となりますよう、教室員一同、鋭意準備を進めて参る所存です。皆様にお越しいただけることを心よりお待ち申し上げております。