会長ご挨拶
群馬大学大学院医学系研究科総合外科学講座
肝胆膵外科分野 教授
調 憲
この度、第60回日本癌治療学会学術集会のお世話をさせていただく機会を拝命いたしました調 憲でございます。もとより浅学菲才の身に、このような機会を賜りましたこと、身に余る光栄に存じますとともに皆様に心から感謝を申し上げます。日本癌治療学会は16,000人を超える会員を擁する臓器や専門診療領域を超えた学際的な学会であり、学術集会開催をはじめとして様々な事業を通じて日本の癌診療の発展に大きな貢献をしてきました。私の母教室の九州大学第二外科の故井口潔先生が学会の発足に関わられ、第15回の学術集会を主催されました。また、杉町圭蔵先生、前原喜彦先生がそれぞれ初代、第4代の理事長を務められました。特に私個人といたしましては前原喜彦先生が理事長の時に学会幹事として活動の機会をいただき、外科やそれ以外の多くの先生方との出会いを通じてまさに私を育てていただいたと感じております。また、現在奉職しております群馬大学としても第11回藤森正雄先生、第49回西山正彦先生、第54回中野隆史先生が学術集会の会長を務められ、西山先生は第5代の理事長をお務めになりました。私にとって思いの深い学会です。今回会長を仰せつかり身の引き締まる思いでございます。
第60回の学術集会は2022年(令和4年)10月20日(木)~22日(土)の3日間、神戸コンベンションセンターにて開催を予定しております。
テーマは「信頼と絆に基づくがん医療のこれから」とさせていただきました。昨今のがん医療における適切な診療や情報提供に基づく信頼の醸成や多種職で構成されるチーム医療は複雑化・高度化しているがん医療に欠かせないものとなっていることは言うまでもありません。群馬大学医学部附属病院の医療事故の改革の一環として新設された肝胆膵外科に赴任した私にとって、信頼回復が第一のミッションでした。信頼回復に向けて一歩一歩、歩みを進めていく中で様々な方々との絆の大切さを学んだことから、このテーマとさせていただきました。
本学術集会では、患者さんとの信頼構築に欠かせない「がん領域におけるチーム医療の促進」「患者参加型医療」や「がん情報提供のあり方」などの企画を予定しております。また、これらに加えてがん医療における先人の足跡を振り返るとともに今後の方向性などについても皆様と共に考える企画を準備したいと思います。シンポジウムとして、 AI の可能性、ビックデーターとデジタル化、遺伝子パネル、ロボット支援下手術などがもたらす変革に関する最新の話題やASCO・ESMO との合同シンポジウム などを企画しています。
新型コロナウイルスによる感染拡大の見極めが難しい中、開催形式は現地開催とオンラインを併用したハイブリッド開催も念頭におき鋭意準備を進めているところです。
神戸の地でお目にかかれますことを楽しみにしております。皆様の多数のご参加をお待ちしています。