大会長ご挨拶
この度、第61 回日本癌治療学会学術集会を2023 年10 月19 日(木)~21 日(土)にパシフィコ横浜にて開催させていただく運びとなりました。約1 万7 千人の学会員からなる歴史ある本学会の学術集会大会長を拝命し、大変光栄に存じます。
第61 回の学術集会のテーマは、「がん診療、一気通貫 ―力を合わせて、相乗効果―」としました。近年の癌診療の発展は目覚ましいものがあります。新規治療薬の開発、ロボット支援腹腔鏡下手術に代表される手術療法の進歩、革新的な診断方法の開発、ゲノム医療に代表される個別化治療など枚挙に暇がありません。
一方、癌患者さまからの視点ですと、診断から治療に至る流れの中で、多様な業種から構成される複数の診療科が広く関わりながら、最適な医療を提供している領域・職種横断的構図が浮かび上がってきます。まさにシームレスな診療と、相乗効果を生む協力体制を深めていくことは癌治療学会が目指す方向性と考え、今回の大会テーマとしました。「一気通貫」は生命の連続性を彷彿とさせ、「相乗効果」は世界観の統合でもあります。本学術集会ではこのテーマを噛み締めながら、癌治療をライフワークとした私達が各々の専門分野の垣根を越え一丸となって本学会の意義を再認識する機会にしたいと考えております。
それ故、異分野の専門家が討議するシンポジウム、ワークショップなどを数多く取り入れました。専門性の垣根を越えた分野横断的なアプローチと異分野融合が相乗効果の「化学反応」を生み、参加者に強いモチベーションを生み出すプラットホームが構築されると考えております。
具体的には、特別企画シンポジウム8 セッション、特別企画ワークショップ14 セッション、領域横断的シンポジウム11 セッション、領域横断的ワークショップ11 セッション、臓器別シンポジウム17 セッション、臓器別ワークショップ17 セッション、JSCO2023“Frontier”5 セッションを企画しました。
専門職であり、スペシャルティを持つ我々のライフワークと矜持は一個人のみで終わらせてはいけないと考えております。若い世代に伝えていくべきであり、言語化するのが難しいテクニックや世界観をあえて言語化を試みる学術集会に挑戦したいと考えました。そのために本学会の独自の企画として、「五輪の書」を作成いたしました。特別企画プログラムを作成したプログラム委員はどういう意図で企画したのか、その種明かしとプログラムの聞きどころなどをざっくばらんに書いていただいています。
また、本学会は第3 回のAsia Oncology Society(AOS)と同時開催されます。AOSの理事長である岐阜大学・吉田和弘学長、プログラム委員長の福島県立医科大学・河野浩二教授のご指導の下、合同シンポジウムなどを企画しております。本学会の参加者は無料で参加できるようにいたしました。合わせてご参加いただければ幸いです。第3 回AOS のテーマは「Diversity and Inclusion」です。ポスターも第61 回JSCO と合わせ鏡のように作成しております。JSCO とAOS の合同企画シンポジウムもございます。
ポスターでも表現されている生命の連続性と進化、共生という壮大なテーマを補完すべく、医学以外の専門家をお呼びして「世界観講演」を企画しています。美術、文学、宗教、伝統文化など、私達の世界観を揺さぶる講演を予定しています。さらに、特別講演、未来先導講演、招請講演、教育講演もございます。こちらもご期待ください。
市民公開講座は「教えます!がんにならないお酒の飲み方」「人生100 年時代にがんと本気で向き合おう」をテーマに行います。最新の癌治療をわかりやすく解説していただきます。
皆様のご協力で、公募演題933 演題、指定演題、共催関連演題などを加えますと1,547演題もの多くの演題をいただきました。厚くお礼申し上げます。
慶應義塾大学が主催するのは33 年ぶりです。18 の癌関連診療科のご協力を仰ぎながら総力を上げて準備してまいりました。ご参加いただいた皆様にはご満足をいただけることを確信しております。ぜひ会場に足をお運び下さい。様々な企画を用意し、充実した学術内容だけでなく、思い出に残る総会に仕上げてまいりました。横浜でお会いできますことを心より楽しみにしております。