会長ご挨拶

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第58回日本癌治療学会学術集会 
会長 弦間 昭彦 
(日本医科大学 学長)

 この度、第58回日本癌治療学会学術集会を2020(令和2)年10月22日(木)~10月24日(土)の3日間、国立京都国際会館・グランドプリンスホテル京都にて開催する運びとなりました。日本癌治療学会は、17000人を超える会員が集う臓器や診療基盤分野を越えた学際的学会であり、学術集会などの事業を通じ、日本の癌診療の発展に大きな役割を果たしています。この大切な学術集会の会長を拝命し、大変光栄に存じております。

 現在、癌診療には大きな変化が見られています。「分子標的治療など個別化治療の開発」、「低侵襲局所療法の進展」、「免疫治療の飛躍的進歩」など、急速に進歩していることは周知のことと思われますが、同時に、関連する「画像技術」、「内視鏡診断・治療」、「分子診断技術」、「放射線治療技術」、「新医療を用いた集学的治療」や、「網羅的研究手法」、「遺伝子編集」、「バイオインフォマティックス」等、新たな手法を用いた基礎研究の領域での急速な展開が見られています。今後、一層、創造的な活動が求められ、臓器を越えたダイナミックな展開が期待されています。
さらに、仮想現実、拡張現実、人工知能、ロボット工学などの工学テクノロジーの進歩にも目をひかれます。このような変化の中で、多くの問題が生まれており、この問題に対し、解答に向けた一歩を踏み出すことの意味がクローズアップされています。それぞれの領域における気鋭の皆様が一同に会し、前述の多くの問題の解決など、豊富な果実が収穫できるよう、できる限りの「場」を提供できればと思っております。
そのためには、臓器、診療基盤分野を越えることは勿論、工学などとの研究手法を越えた連携をより強固により広く進めることが重要と考えます。テクノロジーへの対応、より学際的な集会への方向性を進めることを強く意識し、「テクノロジー新時代のがん診療」を議論する集会を目指し、58回目となる本学術集会のメインテーマは、「技術と心:Humanity-Centered Technology」としました。このような癌の治療成績の向上に伴い、患者-家族関係もまた、変容の時代を迎えています。われわれ医師・医療関係者は、患者を取り巻く諸問題について、今まで以上に意識して日常診療に取り組むことが求められています。プロモーションビデオやポスターの言葉や眼差しの意味を感じていただければ幸いです。
以上を踏まえ、今回は、(1)ロボット支援手術の今後の展開、(2)医療AIの現在と近未来、(3)ゲノム医療の現状、(4)ASCO2020、ESMO2020 の総括と新たな診療、(5)癌診療の進歩と患者・家族の新たな関係、(6)ASCO などとの国際シンポジウムなど、企画を進めています。

 伝統と未来が共存する京都の地で、多方面の最新研究成果や技術に触れていただくとともに、活発な討議をお願いしたいと思います。皆様のご参加をお待ちしています。