会長ご挨拶

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第59回日本癌治療学会学術集会 
会長 林 隆一 
(国立がん研究センター東病院副院長)

 この度、第59回日本癌治療学会学術集会会長を拝命し、2021(令和3)年10月21日(木)~10月23日(土)の3日間、パシフィコ横浜にて開催させて頂く運びとなりました。日本癌治療学会は、17000人を超える会員を有する臓器や専門診療分野を越えた学際的な学会であり、学術集会をはじめさまざまな事業を通じて、日本の癌診療の発展、標準化に大きく貢献してきました。このような歴史のある学術集会の会長を拝命し大変光栄に存じております。

 ゲノム医療、AI の導入、低侵襲手術の進歩、免疫治療の普及、高精度の放射線治療の開発など、がん診療は急速に進歩しています。がん治療における目標は「がんを根治し、日常の生活に戻る」、「人としての社会性を保つ」ことであると考えています。しかしながら実際にはその代償として患者さん方が肉体的、精神的また社会的にも様々な負担を背負い込むことが少なくありません。そこで本学術集会ではがん治療の基本に立ち返り、QOL(Quality of life)を柱に据えて、テーマを「形、機能、命を守る」としました。このテーマを具現化できる技術やシステムはLife before Cancer やLife after Cancer における課題の解決を示すことに繋がり、そのためには臓器、専門診療分野を越えた連携はもちろん、基礎研究や工学テクノロジーとの融合、産学連携の推進など、より学際的な発展が必要となります。これらの情報の一端を本学術集会で示すことが出来れば、未来のがん治療の発展に寄与できると考えております。本学術集会ではシンポジウムとして、がんゲノム医療の最前線、AI oncology の現状と今後の展望、ロボット支援下手術の現状と今後の展望、がん治療の変革を目指す医療機器開発、ASCO・ESMO との合同シンポジウム などを企画しています。

 新型コロナウイルスによる感染拡大のなか、厳しい状況の中で診療を行っていらっしゃる先生方はじめメディカルスタッフの皆様も多数いらっしゃると思います。心より敬意を表するとともにご自愛のほどお祈り申し上げます。まだまだ収束が見通せない状況であり、開催形式は現地開催とオンラインを併用したハイブリッド開催も念頭におき鋭意準備を進めているところです。

 尚、本学術集会より演題応募における倫理的手続きに関する指針が本格導入となります。学術集会へ演題を応募する際にはこの指針を遵守する義務がありますので、登録の際には是非、ご確認、ご対応の程どうぞよろしくお願い申し上げます。

 横浜の地でお目にかかれますことを楽しみにしております。皆様の多数のご参加をお待ちしています。