会長ご挨拶

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第53回日本癌治療学会学術集会の開催にあたって
 第53回日本癌治療学会学術集会
 会長 小西 郁生
 (京都大学大学院医学研究科器官外科学講座 婦人科学産科学 教授)

みなさま、こんにちは!

みなさま、ようこそ京都にお越しくださいました。心より御礼申し上げます。この度、伝統ある日本癌治療学会を開催させていただきますこと、誠に光栄に存じます。

今回の学会のメインテーマは「がんと生きる」です。今や二人に一人は必ずがんに罹りますが、がん治療の進歩により6割の方は治癒に至ります。また完全に治らないまでも治療とケアにより長く生きることも可能となりました。さらに遺伝子診断によって、がんに罹る前からその発症リスクも予測できる時代となりました。まさに、私たち全員が「がんと生きる」時代を迎え、そのときどきを「人間らしく生きたい」と心から願っています。そこで、学術集会の中では「“がんと生きる”をサポート」というセッションを中心に据え、ケアとサポートのさらなる向上を目指して、学び、大いに議論することといたします。医師、メディカルスタッフだけでなく、多くのがん患者、がん体験者、ピアサポーターの方々にもご参加いただけるものと存じます。

またせっかくの機会ですので、今年の京都の10月全体を「がん啓発月間」として、「Cancer Month Kyoto 2015」と名づけ、10月2日から毎週末に市民参加イベントを開催いたしております。今回、その市民参加イベントの流れを学術集会の中にまで持ち込みます。学術集会中の10月30日㈮と31日㈯の午後には、メインホールにて、会員の先生方による市民公開講座とともに、著名人のご出演をいただき、「Cancer Month Kyoto 2015 市民・患者参加イベント」を開催いたします。会員のみなさまも、ご家族とともに、是非ご出席ください。また、30日には「癒やしコンサート」もありますので、こちらもお楽しみください。

さて、今回の学会の学術テーマは「がん治療のゲノム個別化」です。基礎研究領域が先頭に立ち、今、次世代シークエンシングによる全ゲノム解析、マイクロアレイ技術による包括的遺伝子発現解析とバイオインフォーマテイクスの応用で、一人ひとりのがんの“遺伝子的個性”と“細胞内シグナル”が明らかにされつつあります。そして、その個性に対応する個別化された治療法“Precision Medicine”が模索されており、これは従来の疫学的エビデンスに基づく標準的がん治療から、さらに次の段階へと一歩進めようとするものであり、個々の患者さんにとっては理想的治療法であると考えられます。肺がんや乳がんではドライバー遺伝子が見つかり、分子標的薬がすでに標準療法として確立され、さらに最近では、PD-1抗体などがん免疫療法の画期的進歩があります。私たちは、この“Precision Medicine”の方向性をさらに推進すべき使命をもっております。

そこで、今回の学術集会では、すべてのセッションにおいて「がん治療のゲノム個別化」に焦点をあてることとし、将来のがん治療個別化を展望しつつ、今、私たちはどこまで到達していて、これから何をすべきかを明らかにすることを目的としました。そのため、“PrecisionMedicine”で著名な国内外の研究者とがん治療医を招聘いたしております。iPS細胞技術はどのように応用できるか、山中伸弥先生の講演も拝聴します。「がん治療のゲノム個別化」時代に適合した、従来とは異なる臨床試験のあり方も議論いたします。若手の先生方が最先端の知識と情報を吸収できる場も設定いたしました。さらに、「がん治療のゲノム個別化」の方向性は医学研究の促進だけでなく、医療経済にも大きな影響を及ぼすことから、厚生労働省や日本医師会からも議論に参加していただきます。

今回の学術集会は、この間、学会を大きく牽引してこられた西山正彦理事長の総仕上げの会となります。西山先生は、国内では「がん治療認定医制度」の確立や「がんナビゲータ」制度の立ち上げに尽力され、国際的にはASCOやESMOなど海外のがん治療学会との交流を大きく展開されました。さらには、アジアにおける多施設共同臨床試験を行うべく、Federationof Asian Clinical Oncology(FACO)を立ち上げられました。今回はその第3回FACO学術集会も並行して開会しますので、米国、欧州だけでなく、アジア各国からも著名な方々、そして若手医師も多数参加していただきます。わが国の若手の先生方には、ぜひとも活発な国際交流をお願いしたく存じます。

なお、金曜日の夕方からは「会員懇親会」もございますので、気楽にお立ち寄りください。今回の学術集会がみなさまにとりまして実り多いものとなりますよう、心より念願いたしております。