会長ご挨拶

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第52回日本癌治療学会学術集会会長
竹之下 誠一
福島県立医科大学 器官制御外科学講座 主任教授
 ごあいさつ

第52回日本癌治療学会学術集会は会期が2ヶ月早まったにも関わらず2000題近い一般演題をいただき演題総数は2437題に達しました。ひとえに皆様のおかげと感謝申し上げます。暑い夏の開催となりますのでノーネクタイで気楽にご参加下さい。今回のメインテーマ「愚直なる継続: Breaking new ground through perseverance」は癌の制圧への真摯なる努力と、震災以後福島が置かれている状況の打破への継続を意味しております。古来、 福島の会津には「愚直さ」を尊ぶ風土があり、ポスターの燧ケ岳を背景に尾瀬の水面に燦々と降り注ぐ光線はがんの制圧にいどむ学会員の意思を、形成された波紋は「真摯さ」をイメージいたしました。

 国際化 

本邦最大の癌臨床系専門学会である日本癌治療学会は癌の制圧という世界共通の悲願を主旨とし、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、ヨーロッパ臨床腫瘍学会(ESMO)、アジアでは韓国癌治療学会(KACO)、中国癌治療学会(CSCO)との関係を強化してまいりました。国際化を反映し、本会より新たに欧州癌学会(ECCO)とのJoint Symposium「Chemoradiation in Gastrointestinal Cancer: Pros and Cons in Western and Eastern Countries」が行われます。また、公益財団法人高松宮妃癌研究基金のご後援で「ゲノム情報に基づく癌の新たな治療戦略」「免疫チェックポイント阻害によるがん免疫療法」「消化器癌幹細胞研究と最新の知見」「癌の分子イメージングの未来」「内照射療法:日本における拡充」「癌に対するトランスレーショナルリサーチ今後の展開」と6つのInternational Symposiumを企画致しました。日、米、欧の第一人者により最新のお話がいただけると期 待しております。本邦と海外との医療状況を比較頂くため、その他のシンポジウムにも適宜海外演者を配置しており総勢50名を越える海外演者にご参加を頂きます。すべて同時通訳が入りますのでお気軽にご参加下さい。

 プログラム

学術集会では設立50年の節目に歴史的回顧が行われ、昨年は基礎から家庭・在宅医療への成果還元につき俯瞰的な議論がなされました。本年は、個別化医療の未来を主題として取り上げました。欧米追従が善でなく、本邦独自の世界に誇れる個別化医療システム構築のためには、基礎研究、実地臨床はもちろん、産官学の連携、行政の支援など多角的な施策を実直かつ継続的に進めていくことが求められます。本学術集会へは毎年、様々な職種の方に多数ご参加いただいており、参加者の4人に1人はメディカルスタッフとなりました。がんの個別化医療においては分子生物学的情報のみを取り上げるのではなく、全身状態、臓器予備能、栄養状態、心理状態、家族背景などに目を向けることも広義の個別化医療であると考えます。それらを総合的に理解することにより、充実したチーム医療が確立するものと思われます。教育セミナーは「チーム医療の現状と今後の展望」 と題して初めてチーム医療を取り上げたほか、シンポジウム「個別化時代のチーム医療」では“薬物療法”、“看護”、“心のケア”、“リハビリ”、“情報伝達”、“栄養管理”の6つの立場から他職種にむけたメッセージをお願いしております。がん治療に関わる様々な職種の方々から最新の情報を提供いただき、真のチームオンコロジー形成に向けた記念すべき学術集会となることを祈念しております。パネルディスカッション「Medical StaffへのTask Shifting」、Hands on Seminar「癒しの学び」なども企画しておりますので是非ともメディカルスタッフの皆さまに多数ご参加いただけることを願っております。

本邦では年間約75万人ががんに罹患しその5割以上がサバイバーとなります。がんサバイバーの妊孕性、就労支援、高齢者癌への対応は重要な案件であります。また2020年代には年間の死者が150万人を超えると予想され、近未来の終末期医療を社会全体で考えるシンポジウムも企画しております。その他、本邦が抱える問題である分子標的薬時代に考えるべきこと、日本における臨床研究の現状と信頼回復の取組み、均てん化か集約化かを、予防医学として日本癌学会共催シンポジウム「予防医療の基礎と実践:リスク評価と検証研究」、PM2.5とその諸問題、生活習慣が消化器がん発生に与える影響など幅広いトピックをプログラムに包括しております。もちろん臓器別シンポジウムも20コマ用意しておりますので知識のUp Dateにお役立ていただければ幸いです。ビッグデータ活用による未来の医療、児童・生徒に対するがん教育なども興味深いテーマとして取り上げております。

日本癌治療学会ではASCOと「日本の若手医師の育成共同プログラム」を構築中です。そこでUJA(United Japanese researchers Abroad)との協賛でCareer Development「Climbing The Way:成功秘訣の世界基準」を企画しました。ASCO、ESMO、ECCOのPresident Lectureもこの中に集約しご自身のCareer Development、邦人研究者の海外研究機関での心構え、在外研究機関から見た邦人研究者への期待等 についても言及いただき ます。パネルディスカッションも予定しておりますので留学をお考えの方、海外への興味をお持ちの皆さまにもディスカッションに加わっていただきたいと思います。

 福島から  

東日本大震災および福島第一原発事故を経験し、福島県民の健康を見守りながら共に生活している私達は本学会での大きな使命を負って臨んでおります。福島県立医科大学では、県民健康調査の着実な実施、最先端の医療設備と治療体制の構築、世界に貢献する医療人の育成などに加え、医療関連産業の振興による地域社会の再生・活性化をはかって参りました。本学術集会では福島企画として震災後3年にわたる復興の状況を山下俊一先生に お話し頂き、特別企画「原発事故と健康被害:福島からのエビデンス報告」において低線量被ばく・避難生活による健康被害について最新の科学的データを報告させていただきます。ASCO/JSCO Joint Symposium「Low dose radiation effects on human health」では宇宙線と健康についてNASAのDr. Straumeにご講演頂く他、低線量被ばく研究の世界的権威を招請しております。是非ともご聴講頂きますよう御願い申し上げます。

初日午後には日本が誇るバイオリニスト諏訪内晶子様の演奏を予定しております。ストラディバリウスの音色が日頃忙しい日常をお過ごしの皆さまの一服の清涼剤になれば幸甚であります。その他、本会を通して皆さまから寄せられたご支援への心からの感謝の気持ちを伝えられるように、またご参加の皆さまにもひとときの癒しを与えられるように随所に工夫をしてお待ちしております。是非とも横浜に足をお運びください。